お口の病気の代表格ともいえるむし歯。なんと日本人の約90%以上がむし歯にかかっているというデータがあります。
ある意味身近な存在でもあるむし歯は軽く見られがちですが、放っておいて元に戻ることはありません。それどころかどんどん進行して大変なことになることも…
今回はそんなむし歯ができる原因についてお話したいと思います。
むし歯はこうしてはじまります
わたしたちが食事をする度に、口の中では『脱灰 (だっかい)』と『再石灰化』が行われています。
この二つの作用のバランスが崩れて、脱灰が進むとむし歯が始まります。
脱灰と再石灰化とは

むし歯の原因菌は主として炭水化物や砂糖を原料としてネバネバした、水には溶けない物質を作り、その中で増殖しながら酸をつくりだしていきます。
酸によって歯のエナメル質からはカルシウムやリンがどんどん溶け出す『脱灰』が起こります。これがむし歯のはじまりです。

食後しばらくすると酸性に傾いたお口の中は、唾液のもつ中和する働き(緩衝能(かんしょうのう))によって徐々にpHが元に戻ります。
そのとき唾液の中のカルシウムやリンが、歯の表面のエナメル質に戻る『再石灰化』が行われます。
むし歯をつくる4つの条件
むし歯をつくる条件として以下の4つが代表的なものとして挙げられます。糖分の摂りすぎなど普段の生活で対策できることですので、ぜひ気を付けてみてください。


むし歯になりやすい質の歯って遺伝で決まるんですか?

いいえ、遺伝だけとは言い切れません。
体質の変化には、先天的要因(遺伝要因・環境要因)と後天的要因(環境要因)とがあります。
歯の質の場合、遺伝的な質もありますが、乳歯は胎児のとき、永久歯は胎児から乳幼児にかけて完成していく中で、そのときの環境(主に栄養状態もしくは服用薬)に質が左右されることもあります。
例えば、母胎が摂取した抗菌薬の影響で歯が黄色くなったり(現在、日本では副作用が周知されているため、服用薬として使われることは緊急時を除きほとんどありません)、栄養状態の変化により一部のエナメル質が欠けた状態で歯が生えてくることもあります。
さらに、生えたばかりの歯はまだ石灰化が充分でなく、硬度が低いため、虫歯のリスクが高い状態です。
小児歯科でフッ素塗布を推奨しているのも、幼弱な永久歯を強化する目的があるのです。

食後すぐに歯を磨くのは良くないって聞いたことがあるのですが、歯を磨くまでの時間ってどれくらい置くのが適切なんでしょうか?

pHの変化についてこの記事で言及しているおり、私たちの唾液には緩衝能という機能が備わっている成分が存在します。
緩衝能により正常なpHになった時に歯磨きをするのが望ましいでしょう。
特に、酢の物や炭酸飲料など、酸性の強い飲食物を摂取した直後に歯を磨くと、酸で研磨したような状態になり、歯を傷つけてしまうおそれがあります。歯磨きの理想的なタイミングは食後といえるでしょう(飲食してから30分後)。
ただ、30分後というと忘れてしまう方もいらっしゃるかもしれません。唾液の緩衝作用を待っていたために歯磨きを怠るとなると本末転倒。お急ぎの場合は、まずうがいをしてから歯磨きをされることをおすすめします。
いかがでしたか?
むし歯ができる原因を知り、予防を心掛けることで歯の健康をいつまでも守ることができます。
むし歯予防や治療について気になる方はお気軽にゲン歯科クリニック( TEL:092-471-0110 )までご連絡ください。
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